先日の尿検査でストルバイト結晶が発見され、PHの値が8.0、アルカリ性に傾いている状態であることが判明した、愛猫のそら。
私はこの日、「ストルバイト」という言葉を初めて知りました。
さらに、尿石症で尿道が詰まっておしっこが出なくなると、3日で命を落とす可能性があると聞き、顔面蒼白に。
そこで、このストルバイト結晶を溶かすための療法食が処方され、2週間後に再検査をしたところ、ストルバイト結晶はキレイになくなり、PH値は6.5に下がっていました。
猫の尿石症のことや、今回の治療の経過を、今後のために書き留めておきたいと思います。
目次
PH値と結石の関係
猫のおしっこのPH(ペーハー/水素イオン指数)は、普段は弱酸性(PH6.0前後)なのですが、食事をすると値が上がってアルカリ性に、その後、運動したり睡眠をとったりすると、徐々に酸性寄りになり、平常値へ戻ります。
PHがアルカリ性に傾いている状態が長く続くと、おしっこの中のリンやマグネシウムなどがくっついて「ストルバイト結晶」ができ、それがもっとくっついて固まってくると、ストルバイト結石(正式名称:リン酸アンモニウムマグネシウム結石)になります。
「結晶」は、顕微鏡でしか見ることができない小さなものですが、「結石」になってしまうと、数ミリでも尿管などは詰まってしまい危険です。
ストルバイト結晶、ストルバイト結石は、酸性の環境下では溶けて(溶解)、おしっこと一緒に排出されます。
なので通常は、たとえ結晶が発生したとしても、運動や睡眠によって、PH値が酸性寄りに傾いたときに溶解してしまうので問題はありません。
逆にPH値が酸性すぎると、今度は「シュウ酸カルシウム結石」の危険性があるので、通常は、PH6.0前後の正常値を保てる状態がベストです。
(シュウ酸カルシウム結石は溶解できないので、手術が必要になってきます)
尿石症の症状
もともと砂漠に暮らしていた猫は、貴重な体内の水分を有効に使うため、量が少なく、濃い濃度のおしっこを排泄するような身体の仕組みになっています。
しかし、その濃いおしっこが原因で、尿路結石ができやすいというリスクが高まります。
「尿石症」は、尿道や腎臓、膀胱などにできた尿石が原因で、色んな症状を起こしてしまう病気です。
・頻繁にトイレへ行く
・トイレへ行ってもおしっこの量が少ない、出ない
・トイレ以外の場所で排尿する
・食欲、元気の低下
・排尿時に痛がる
・血尿
・おしっこがキラキラしている など
特に、全くおしっこが出ない場合は、急いで動物病院へ。
尿石が、尿管や尿道が詰まっておしっこが出せない状態になると、毒素を体外へ出すことができず、命の危険があるからです。
また、結晶の形は尖っているため、膀胱や尿道の粘膜を傷つけ、膀胱炎や尿道炎を起こすこともあり、猫はしきりに陰部を舐める仕草をすることもあります。
いつもと違う行動をしていたら要注意!
今回尿検査をしたのが7月なのですが、実は、4月頃から「あれ?いつもと違うかな?」という、思い当たるフシはありました。
春頃、そらがおしっこをしたあと、やたらと陰部を舐めていたんです。
一度ペロペロして、しばらくして、またペロペロ・・・。
変だな、とは思ったんです。
もしかしたら、結晶によってどこかが傷つき、痛かったのかもしれません。
そして、今までおしっこは、1日2回だったような気がするのに、その頃から、1日3回するようになっていたんです。
「おしっこの回数が増えるのは要注意」ということはうっすらと知識にあったので、気にはなったのですが、1日3回なら基準範囲内かな、これ以上増えるようなら病院へ相談しよう、そう思っていました。
(尿検査の結果が出た際、排尿が1日2回から3回に増えたことを伝えると、「3回なら、「頻尿」というわけでもないから大丈夫」と言われました。ストルバイト結晶がなくなった今でも、1日3回しているので、特に問題はなさそうです)
いま思えば、それらの行動は、病気のサインだったのかもしれません。
そらの微妙な変化に、なんとなく気が付いていながら、何もしてあげなかったことを悔やんでいます。
その間、不快感や痛さに耐えていたのかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
尿石症の原因
尿石症ができる原因はいろいろあります。
・水分不足
・ストレス
・食事内容
・細菌感染
・体質 など
ヒマラヤンやスコティッシュフォールド、ロシアンブルーなどの猫種は、尿石症になりやすいようです。
また、オス猫は尿道が狭いので、尿石が尿道で詰まる「尿道閉塞」になりやすいとのこと。
尿石症の予防と対策
一度尿石症になった子は再発しやすいと言われているし、今までなったことのない子でも、結石によって尿毒症になれば、命の危険もあります。
なので、尿石ができないよう、予防することがとっても大事です。
<適切なミネラルバランス>
リンやマグネシウムが原因でストルバイト結石ができるのであれば、それらを摂取しないようにすれば・・・と思ってしまいますが、これらの成分も、猫ちゃんにとっては必要な成分。
なので、これらのミネラルが、バランスよく配合されているフードを与えることが重要です。
<尿路ケア用のフードを与える>
猫の下部尿路用のフードには、PH値を酸性寄りにするものや、PH値を一定の数値を目標に設定されているものなどがあります。
【ずっと酸性のままではマズイ】
食事によってPHをコントロールして酸性寄りにすれば、ストルバイト結晶・結石は溶かすことができますが、だからといってずっと酸性のままでは、今度は「シュウ酸カルシウム結石」ができてしまうかもしれないので、様子を見ながらの給餌が必要になります。
<ダラダラ食いをさせない>
尿のPHがアルカリ性に傾くのは、食後です。
置き餌などにより常に食事をとることは、ずっとアルカリ性に傾いた状態が続いてしまうということになり、よくありません。
ドライフードを与えたときでもずっと出しっ放しにはせず、食べ残した分はすぐに廃棄。もったいないけど、仕方ありません。
<消化の良いフードを与える>
消化するのに時間がかかってしまうと、アルカリ性に傾いている状態が長くなってしまうので、消化の良いフードを与えるようにします。
<水分を充分とらせる>
結石を形成する余分なミネラル成分などを、おしっこと一緒に排出できるように、おしっこを沢山出してもらうような工夫が必要です。
でも、猫ちゃんは、なかなか自分でお水を飲もうとしないのが難点。
そういう猫ちゃんには、沢山水分が含まれているウェットフードを与えるのがおすすめです。
あとは、ドライフードにお水を混ぜたり、水飲みボウルを数カ所に設置したり、流れる水が好きな子には、給水器を設置したりといった方法もあります。
<トイレをいつも清潔に>
トイレが汚れていると使うのを嫌がって、おしっこを我慢してしまうかもしれないので、トイレは常に清潔に保ってあげます。
<塩分の濃いフードをあげる>
猫の飲水量を増やしておしっこの量を増やすために、塩分濃いめのフードがあるそうなのですが、これを与え続けていると、腎臓に負担がかかってしまうようなので、注意が必要です。
<定期的に検査をする>
おうちで工夫できる予防は沢山ありますが、それにプラス、定期的な検診。これにつきます。
そして、愛猫の様子を常に観察して、いつもと違う行動をしていたら、あれ、もしかして・・・と思える知識を身につけておくことも大事だなと思います。
尿石症の治療法
結石が尿道などに詰まり、排尿ができないような状態なら手術が必要ですが、そうでなければ、食事療法によってPH値を酸性寄りにし、結晶や結石を溶かして尿と一緒に排出させる方法が一般的なようです。
今回のそらのおしっこは、アルカリ性寄りのPH8.0の環境により、ストルバイト結晶ができてしまったと思われます。
おしっこは1日に3回普通に出ているので、尿を酸性寄りにして結晶を溶かすための療法食が処方され、1週間後に尿の再検査をすることになりました。
療法食『Vet Life ベットライフ』
病院によって処方される療法食は違うと思うのですが、そらのかかりつけ医が処方してくれたのは、Farmina (ファルミナ)の『Vet Life ベットライフ』のウェットフード『尿路ケアS』。
『尿路ケアS』にはドライフードのタイプもあるけど、水分を沢山とらせて沢山おしっこを出したいから、ウェットフードにしましょうとのことでした。
『Vet Life ベットライフ』はイタリアが原産国で、高品質の原材料を使用した、自然療法食で、獣医師向けに開発されたもの。
『尿路ケアS』は、ストルバイト尿石や下部尿路の健康に配慮されていて、尿のPH値5.5を目標に作られています。
ウェットフードはグレインフリーなので、品質は良さそうです。
『Vet Life ベットライフ』の食いつき
この療法食を購入してきた日の晩ごはんに、試しにベットライフのみであげてみました。
缶を開けた途端、そらが嗅ぎつけて「にゃーにゃー」寄ってきましたwww
確かに、美味しそうなニオイがします。
でも、見た目はいまいち?(母ちゃん目線ですが)
あとは、軟便体質のそらの身体に合うかどうかが気になるけど、とりあえずひと安心、と思ったのですが・・・。
なぜか翌日から、療法食を拒否。
仕方なく、これまであげていた黒缶とセンシブルで、トッピングしてみたりしてごまかしてみるのですが、トッピング部分だけ器用に食べたり、全く食べようとしなかったりと苦戦。
☝黒缶を上から乗せて、療法食を隠してみた
☝療法食の周りを、黒缶で囲ってみた
「それしか食べるものがなければ、そのうち食べるようになるから」とは言われたのですが、トッピングなしでは、全く手を付けてくれません。
獣医さんからは、療法食のみを食べさせてくださいねと言われたのに(;´Д`)
最初に療法食のみをあげてしまったのがマズかったか・・・。(食事を切り替えるときには、徐々に変えていくことをおススメします)
療法食を始めて1週間で、ロイヤルカナンのセンシブルを完全にゼロにし、徐々に黒缶の割合を減らしていくと、ようやく慣れてきたのか、少しずつではありますが、食べてくれるようになってきました。(それでも黒缶は外せない)
療法食を1週間食べて再検査、と言われていたのに、療法食を食べ終わるまでに2週間かかりました(;^ω^)
その2週間の間、食べる量が普段の半分以下になってしまったそらの身体が、徐々に痩せていくのが分かりました。
ウエストがすっごく細くなって、顔も心なしかほっそり・・・
体重を量ってみると、2週間前が5.2kgだったのに対し、4.8kgまで減少・・・
可愛そうに(´;ω;`) 思わず、抱きしめて泣いてしまいました・・・。
【食事を変える時に気を付けること】
ほとんど食事をとってくれないけど大丈夫でしょうかと、獣医さんに問い合わせたところ、少々食べないくらいなら大丈夫だけど、全く食べない状態は危険なので、そのときはまた相談してくださいと言われました。
調べてみると、猫は絶食が36時間続くと「肝リピドーシス」という病気になってしまうそうです。
そらは、全く食べないわけではなく、1/3や半分は食べてくれていたので、安心しました。
【他のフードと混ぜないほうがいい】
獣医師からは、「療法食だけ与えて、他のフードをあげてはダメ」と言われました。
そうしないと、療法食の効果が最大限発揮できないし、全然効果がなくなることもあるそうです。
療法食中にそらが食したもの
実は、食事療法中、黒缶の他にも食べたものがありました。
モンプチ/ナチュラルキッスの『下部尿路に配慮』です。
治療中なので、おやつ的なものはあげたくなかったのですが、そらの攻撃行動への対応策で、いまのところ、おやつなしでは対応しきれない部分もあり、仕方なくあげていたのです。
オメガ3脂肪酸と、抗酸化成分(ビタミンE)入りで『下部尿路に配慮』されているおやつなので、普通のものよりはマシかなと思い購入しました。
療法食以外のものを食べていた状況下で、PHの数値がちゃんと下がり、ストルバイト結晶が消えてくれているか、本当に不安で仕方ありませんでした。
なので、とにかくおしっこを沢山出してもらおうと思い、ウェットフードに水を少しかけてみたり、モンプチのおやつにも水を混ぜてみたりしていました。
尿の再検査へ
黒缶と混ぜながらではありましたが、療法食を食べきったので、再検査を受けることにしました。
朝いちのおしっこをGETするために、5時に起床。緊張で夜中に何度も目が覚めました(;^ω^)
採取後すぐに冷蔵庫へ保管し、保冷バッグに入れて、朝いちばんで病院へ持参。
待つこと約15分。
「きれいでした!」との言葉を聞くまで、気が気じゃあなかったです( ノД`)
PH値の6.5という数値を見て獣医さんが、「療法食以外にも食べた?」と聞いてきました。
『尿路ケアS』だけ食べていたら、確実に5.5になっていたのに、という雰囲気でした。
Q:一気に沢山食べると吐いてしまうので、1日3回、朝・昼・夕のタイミングに分けてあげています。
食後にアルカリ性寄りになったPHを、酸性へ傾ける時間を確保するために、食事と食事の間を開けないといけないのであれば、1日3食よりも、1日2食にしたほうがいいの?
A:晩ごはんから朝ごはんまでの間が長いから、今まで通り3回で大丈夫ですよ。
1か月後の再検査へ向けて
ということで、2週間の辛い療法食生活が終わり、無事検査はクリアーしました。
今後は、市販されている尿路ケア用のフードを食べてみて、1か月後にまた検査しましょう、ということになりました。
どのメーカーのフードを選択するかは私にゆだねられましたが、効果のほどを見るため、色々種類を混ぜないで1種類だけにしてねと言われました。
あとは、ドライフードよりも、水分を沢山摂取するためにウェットフードを選択すること。
この2週間ずっと調べていたのですが、尿路ケア用のフードは沢山あって、頭がパニックに・・・。
もう、分からん(;´Д`)
最終的に私が選んだのは、ロイヤルカナン『ユリナリーケア』のウェットフードです。
今までロイヤルカナンのセンシブルで調子良くきているので、同じメーカーのものが良いかと思い選びましました。
『ユリナリーケア』のレビューは、また後日お届けしたいと思います♪
結石の予防と定期的な検査をしよう
ということで、尿検査でストルバイト結晶が見つかり、美味しくない療法食(?)と強制的な水分摂取により、何とか結晶を撲滅することに成功いたしました。
でももしかしたら、すでにどこかに結石があるかもしれないし、これからまた結晶が見つかるかもしれないので、油断はできません。
今後は予防に徹底し、定期的な検査を心がけ、小さな変化も見逃さないようにしたいと思います。
療法食が終わり、通常の食事を美味しそうに頬張るそらを見て、泣きそうになりました( ;∀;)
(最初ガッツきすぎて、吐いてましたが ”(-“”-)”)
そらの唯一の楽しみを奪わないよう、私がしっかり管理していかないとな。頑張るぞ(^^)/